新型コロナ第8波につながる「新しい変異株」

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の新しい変異株が世界各地で出現しており、日本でも感染者が確認されている。ウイルスが活性化しやすい冬が到来した上、入国規制の緩和や円安により外国人観光客が増加し、新たな変異株が時間を置かずに流入することが予想されるため、第8波が懸念されている。

新しい変異株が各国で広がっている

アジアで急増する「グリフォン」

海外では、新しい変異株としてオミクロン株の亜系統が見つかっている。インドやバングラディシュ、シンガポールなどでは、ギリシア神話の「グリフォン」に例えられたXBB系統が流行している。XBB系統はオミクロン株のうちの複数のタイプのウイルスが組み合わさったもの。シンガポールでは9月末からXBB系統の感染者割合が急増。同国保健省のデータでは、新型コロナの感染者の60%以上が既にXBB系統による感染と推定されている。ただ、これまでのオミクロン株と比べて重症化しやすいという報告はないという。

欧米で広がる「テュポン」「ケルべロス」

また、イギリスやフランス、デンマークなどのヨーロッパでは、「テュポン」と名付けられたBQ.1系統と、その兄弟株で「ケルべロス」と名付けられたBQ.1.1系統が出てきた。ヨーロッパ疾病予防管理センターは、来年初めまでに、この2つの変異株が感染者の8割を占めると予測している。

この2つはアメリカでも感染が広がり始めている。アメリカ疾病対策センターが公表したデータでは、2つは10月中旬現在、アメリカにおける新規感染例の10%ほどだが、感染症とワクチンの専門家によると、今後、オミクロン株のBA.5と入れ替わって主流になる可能性があるという。

XBB系統、BQ.1系統、BQ.1.1系統のいずれも、ワクチンが効きづらく、感染力が強いのではないかと言われている。重症度や治療薬の有効性などに関しても、今のところ不明だという。

第8波を招きかねない日本の置かれた状況

日本でもXBB系統や、BQ.1系統かBQ.1.1系統かのいずれかと見られる感染が既に確認されている。寒い季節の到来、水際対策の緩和に加え、新しい変異株が確認されたことで、日本国内で第8波が起きる可能性が専門家の間で指摘されている。既に全国の新規感染者数は2カ月ぶりに増加に転じている。特に北海道と東北は感染スピードが早い。

今冬は、COVID-19に加え、季節性インフルエンザの同時流行が危惧されている。発熱や倦怠感など症状を同じくするものもあり、外来などで混乱を来すことが予想されている。政府はオミクロン株に対応した新ワクチンの接種を進めようとしているが、BA.1対応品の接種が始まった9月20日から1カ月ほど過ぎた10月29日時点で、接種率は全人口の4%にとどまっている。第7波が小康状態になり危機感が薄れたことや、BA.5対応品の選択肢が広がるのを待つ接種控えが起きていること、副反応への不安や有効性への懸念から接種を迷う人が多いことが伸び悩みの背景にあるようだ。